「利益」という考え方は実は必要不可欠なものではありません。
資金が用意できる限りにおいて、事業は回転します。ですから、法人として財務諸表を作成し、損益計算書を作成するというきっかけでもなければ、利益という概念はあまり重視されません。目の前のお金が全ての世界でも、事業は回るのです。
では、なぜ「利益」という考え方が必要なのでしょうか?
これは、事業を評価するために必要な考え方です。
(利益)=(売上)―(費用)
大雑把にいえば、これが基本的な考え方です。複雑な期間配分などの考え方が一切ない世界を仮定すれば、「売上=いくらお金を得られたか」「費用=お金を得るためにいくらのお金を使ったか」という単純な図式ができます。
つまり、利益は使ったお金に対してどれだけ効率的にお金が回収できたかということを示す指標です。
ここで、個人事業主であれば、
(利益)=(売上)-(原価)
までを考える人が多いようです。つまり、粗利益の概念です。ところが、粗利益がプラスになる、というのは当然の話であって、どれだけプラスになるかが勝負です。
営業利益がプラスになっていなければ、その事業は「やる価値がありません」
こう考えると、費用には「自分が貰って当然だと思う人件費」「宣伝などに使っている費用」「家賃」「パソコン」などのインフラの費用を載せなければなりません。特に、人件費をカウントすることは非常に重要です。この見込みを立てることは、個人事業主が事業を営業利益ベースで管理することを意味します。
自分の手間・人件費をカウントに入れず「残った金額を自由に使えればいいや」という甘いコントロールしかしていなければ、利益が出るか出ないか、という観点ではなく、売上が取れるか取れないか、という側面で仕事をとってしまいます。
原価以外のコストは見えにくいため「見ないようにしようと思えば」いくらでもできます。
しかし、利益が出るかどうかという考えがないと、仕事をすればするほど貧しくなります。
せっかく、リスクを冒して事業をしているのに、まともな報酬が得られなくなってしまいます。仕事をしていても苦しくて貧しくてたまらない状況は、本来あってはならないものです。この時には、商売の仕方を根本から見直さなければならないのです。
このとき、現金の出入りしか見ていない個人事業主は、見直しの機会を失います。
利益、つまり、商売の効率性を考えることで、自分のしていることが正しいかどうかの判断が得られるのです。