これから独立する方に必要な情報を、5項目にわけてまとめました
【1】事業計画を綿密にたてる
独立開業を目指す場合には、まず事業計画を検討する必要があります。
事業計画の策定では、いわゆる「5W2H」を中心に検討していくのが一般的です。特に金融機関などからの融資を望む場合には、より詳細で現実的な事業計画を練り上げる必要があります。
まずは会社として設立する(個人事業主になる)にあたって諸官庁への届出が必要となります。
会社設立登記が完了すると会社としてスタートができますが、会社がスタートした時点ですべてが完了したわけではありません。
会社の登記が終わったら、社会保険事務所、労働基準監督署、ハローワークには各種保険 の届出、税務署や市区町村、県税事務所には税金の届出をしなくてはなりません。
会社勤めをしていた人が、起業する、あるいは独立する時はこれまで会社任せにしていたことを自分で一からしなければならなくなります。
届出業務などは会社勤めをしていると、特定の部署に勤めていなければ、ほとんど経験してこなかった人も多いのではないでしょうか。
【2】在職企業における退職に向けた手続
退職理由の如何にかかわらず、退職にあたっては「立つ鳥後を濁さず」という意識が大切です。退職意思を上司などに伝える場合には、退職希望日から十分な余裕をもった状態で行うべきです。遅くとも希望日の1か月前には、上司に対して退職意思を確実に伝えるようにしましょう。
また勤続年数の長い方や役職者の方は、引き継ぎなどにも時間がかかりますから、より早い段階から退職意思を伝える必要があります。
退職に当たっては、「退職意思の表示」、「退職届の申請と権限者による承認」、「業務の引き継ぎ」、「社内外の関係者に対する退職事実の周知」、などが必要となります。
【3】事業所の確保など開業に向けた準備
在 籍会社での退職手続と並行して、開業への準備も進めましょう。
開業準備にあたっては、業種にもよりますが原則として、「オフィス、店舗等の確保」、「オ フィス、店舗備品の購入等」、「オフィス・店舗におけるライフラインの確保」、「仕入先の選定」、「顧問弁護士及び税理士等の選定」、「Webサイトの構築」などが必要となります。
【4】開廃業等届出書
「個人事業を開業しましたよ」ということを税務署に知らせるための書類です。税務署が事業所得を把握する必要があるので、この届出が必要です。
開業にあたって、まず税務署に対して「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出しなければなりません。
また自治体に対しては、「事業開始(廃止)等申告書」を提出する必要があります。こちらは各都道府県によって書類の様式や提出先が異なるので、確認が必要です。東京都の場合、提出先は事業所を管轄する都税事務所となっています。
提出期限も設定されており、事業の開始の事実があった日から一月以内に提出することが定められています。この事業の開始の事実があった日、というのはどう設定したら良いのだろうと悩まれる方がいらっしゃいますが、会社勤めと個人事業との区切りとして認識しやすい日、税務署に説明しやすい日といったあたりで候補日を探すのが良いのではないかと思われます。
この書類をどこに提出するのかというと「納税地を所轄する税務署長」となっていますが、難しいことは考えずに、最寄りの税務署に相談に行ってみてください。ついでに、用紙をもらって書き方と事業を開始するにあたっての税務関連の事柄をいくつか質問してみると、イメージがつかみやすいのではないかと思います。
個人事業主を始めたばかりの人にとって税務だけではなく、わからないことだらけだと思いますので、税務署を始めとして様々な人に教えを請うてみるのは賢い手段だと思います。会社の仕組みのように、各業務に対する専門家が部署にいる状態ではないため、自分から情報収集するというのが鉄則になります。その最初の練習としても良いでしょう。
【5】忘れてはいけない青色申告承認申請書
開業にあたっては、青色申告承認申請書の提出もおすすめします。この申請は義務ではありませんが、申請をしておくと青色申告納税者として、税制上大きなメ リット(最大65万円の特別控除など)があります。
提出期限は「青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(1月16日以後新たに事業を開始 した場合は事業開始等の日から2ヶ月以内)」となっており、これを1日でも過ぎると受け付けて貰えませんので、早めに申請をしましょう。
個人事業主の方はメリット・デメリットを踏まえたうえで、青色申告をするかどうかを決めることになります。事業開始とともに決める必要はありません。
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これらの書類を提出し、登記や届出などを終了することで会社としてスタートを切ることができます。
書類の中には難しいものもあり、行政書士や弁護士などに頼む方も多いかと思いますが自分でも行うことが可能です。
理解ができれば自分でも難しいことなく会社設立に向けて進むことができると思いますので、毅然とした姿勢で臨みこの流れを通過して会社をスタートさせてください。