会社勤めから独立、起業すると、いろいろな発見や気付き、意識改革があります。その中でも、特に大勢の起業家やフリーランサーが口を揃えるのが、『仕事には終わりがない』ということです。
会社勤めをしている時は、“一日の仕事の終わり”がありました。
それは定時だったり、退社した時、家に帰った時だったり。
自分の中の“仕事スイッチ”をオフにして、プライベートのモードになれる瞬間があると思います。
ですが、独立・起業して、自分でビジネスを経営するようになると、この感覚が無くなってしまう場合があります。
“仕事スイッチ”がいつまでもオフにならないんです。
それもそのはず。
会社勤めでの仕事というのは、原則的に“ゴール”があります。「ここまで仕上げておいてくれ」とか、「これを完成させてくれ」など。もちろん、半年、1年、数年に渡る長期の任務もあると思いますが、それでも何かしら『終わる瞬間=ゴール』が設定されています。
ところが、経営には終わりがありません。終わる瞬間は、ビジネスをやめる時だけです。
加えて、自分で行うビジネスには、“仕事を与えられる”ことがありません。
仕事は命じられるものや、与えられるものではなく、“自分で探してくるもの”だからです。
見つからなければ、ビジネスができず、売上もあがらず、収益を確保できず、生活が回りません。
ですから、一つの仕事が終わった瞬間というのは、“次の仕事=ビジネスを探しはじめる瞬間”でもあります。
だからこそ、経営者、個人事業者、フリーランサーなど、自ら経営をする人にとっては、1年365日24時間、仕事の終わりはありません。仕事の終わりはビジネスの終わり、事業撤退の時だからです。
多くの成功者たちが、「24時間、仕事をする意識が大切」というのも、同じ意味ではないでしょうか。
しかし“仕事スイッチ”を24時間ずっと入れっぱなしにしておくのは、かえって効率が悪いと思っています。
人間は機械ではありません。いえ、機械ですら、メンテナンスのために定期的に電源を切る必要があります。まして生き物である私達が、24時間スイッチを切らずに働き続けて、正常に動くことができるでしょうか?
“仕事に終わりがない”経営者だからこそ、意識して休む時間を作ることが大切です。適切な休養があって、はじめてパフォーマンスの高い仕事を発揮できます。
パフォーマンスが低下したまま、根性ややる気だけでビジネスに取り組んでも、思わぬミスに翻弄されるだけです。
集中力低下による『うっかりミス』を、人間工学の分野では『ヒューマンエラー』と呼びます。
日本のビジネス界では、「休むことは良くないこと」「休まず働いている人が偉い」という風潮もありますよね。ですが、人間工学に基づいて考えれば、適切に休むことは『ヒューマンエラー対策』であり、絶対に必要なことです。
こうした意識を持って、まずは、「頑張ることは、本当に良いことなのか?」と、自身に問い直してみてはいかがでしょうか?