私の周囲で、個人事業で成功している人は、「言葉づかいが分かりやすい」という特徴があるように思います。
話がうまい、ではなく、明瞭な言葉を使っているように感じられるのです。
たとえば、ビジネスにおいて、美辞麗句を並べたてられてもなかなか感心できません。「社会貢献」と言われても、「具体的にどうすることなんだよ」と反応したくなります。
よく、「ビジネスにおいて重要なのは定量的であること」と言われます。
私はこれは間違ってまではいないとしても偏っているのではないかと思います。たとえば、「売上を増やす」という目標は漠然としていますが、「前年比120%」という数字ははっきりしています。ですが、こうして、定量化しやすいもの以外にも「組織の雰囲気」や「従業員のやる気」といった定量化しづらいけれども、重要な要素があります。
これらは無理に定量化してもかまいませんが、それ以上に、「雰囲気が良くなってきた」という表現や「やる気が出てきているようだ」ということをはっきりイメージできる事例や記述で補えば済むだけです。必ずしも定量的かどうかが言葉を明瞭にするわけではありません。
あらゆることを掘り下げて具体的に話すということ。
先の例で行きましょう。まず、「売上を増やす」という漠然とした目標を掲げたとします。それに対して、「前年比120%」という具体的な目標を与えます。
しかし、数字を付けるだけでは、その数字が本当に達成できるものなのか、ということがわかりません。そこで、前年比120%をどう達成するか、ということが問われます。達成すべき具体的目標は、具体的な手段を伴わない限り、力のあるものになりません。
そこで、前年比120%をどのように達成するかということの具体的な描写が必要です。
たとえば、どのような努力をするのか。「誰が」「何を」「どのようにする」ことなのか、その描写・イメージを膨らませ、はっきりとさせていくことで、「売上を増やす」ということばは豊かなものになっていきます。
言葉を明瞭にすること、落とし所を考えることで、事業に関する表現は非常にわかりやすいものになるでしょう。それは、(他人や自分自身との)無用な混乱を避け、向かうべき方向をはっきりとさせてくれることでしょう。