ビジネス・パーソンにとって、FacebookなどのSNSは必須ツールと言われています。
ですが、“Facebook疲れ”という言葉にも見られるように、「SNSを使うのに疲れた」と感じる人が、近年になって急増しています。
“Facebook疲れとは、大手SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の「Facebook」において、ユーザーが以前よりもFacebookを積極的に利用しなくなること、またはそうした傾向のことである。…(中略)…日本でも既にmixi疲れ、Twitter疲れ、あるいはSNS疲れといった表現が用いられている。”
私の友人やビジネス関係者にも、「Facebookはもう疲れた」といった声が多くなっています。
しかし、「仕事のためには必要」「やらないとライバルに勝てない」といった考えから、“Facebook離れ”には至っていない様子です。
そんな中、Facebookはおろか、TwitterやGoogle+など、SNSを一切使わずに営業を行っているビジネスパーソンがいます。
私のよく知る経営者の一人、M氏の事例をご紹介します。
M氏はもともと、営業担当者として勤務していた人物です。その手腕を評価され、また前経営者が高齢だったこともあり、若干27歳の若さで経営を引き継いぎました。経営者となった現在も、同社営業のエースとして飛び回っています。
M氏の最大の特徴は、“SNSを一切使わないこと”です。
同社のネット上の情報発信は、公式サイトのみ。M氏が使うコミュニケーション・ツールは、電話とメールのみです。
『とにかく電話をする、直接会って話す。会って話をしないと、人柄がわからないし、こっちの人柄も伝わらない。それって僕の信条に合わないんだよね。』
人と人とのつながりを、本当に大切にするM氏。だからこそ、表面的な付き合いになりがちなSNSは使いません。
そんなM氏の営業スタイルは、思わぬ効果をも生んでいます。
クライアントの共感、そして同業他社の営業マンとの差別化です。
『Facebookやってない、っていうと、ビックリされるけど安心してもらえる。「確かにあれ、疲れますよね」って(笑)。それに、少なくとも覚えてもらえる。』
Facebookを使うのが“当たり前”だからこそ、あえて“使わない”ことでM氏の個性や人間性が伝わり、覚えてもらいやすくなるそうです。
こうした効果もあり、同社の経営は『中小ながらも、時代に左右されずに安定している』そうです。
確かにSNSは便利なツールです。大勢の人と、リアルタイムにつながることができます。ですが、「いいね」を付け合うだけの関係で、本当に「つながっている」と言えるのでしょうか?その人たちは、あなたが窮地に立たされた時に、助けとなってくれるでしょうか?
ビジネス、そして人生にとって最も大切なことは、「失敗しないこと」ではありません。「失敗を乗り越える力」です。その力は、“本物のつながり”だけが持っています。時代に左右されない、本物のつながりを作るために…。
SNSの便利さを手放す勇気も、これからのビジネスには必要なのかもしれません。