ここに三年間の収入があるとします。
一年目は1,500万円の収入、二年目は800万円の収入、3年目は1,000万円の収入となっていたとします。平均的に経費は500万円ずつ毎年かかっているものとします。すると、所得は、
所得=収入―経費
ですので、一年目は1,000万円、二年目は300万円、3年目は500万円ということになります。
事業主としては、こうした見通しがあらかじめついているならば、最初の年の1,000万円をなんとかできないかなあ、と考えるはずです。
しかし、単に浪費したのでは、1,000万円をただ減らしてしまうだけになってしまいます。そこで、事業主は考えました。「そうだ、これから先もずっと使えるもので高価なものを今のうちに買っておこう!!」
そこで、500万円でこれから5年は使えるパソコンやら自動車やらその他の耐久財を買いに走りました。その結果、一年目の所得は500万円に落ち着き、税金を抑えつつ好調時に購入した資産を元に今後順調な発展をしていき・・・・ません。
収入と経費はあくまでも対応している
ここでの大きな間違いは、「今後五年使える金額の大きな資産を儲かった時に落とす」というところにあります。その資産が今後五年間、収入につながりそうなものだったら、あくまでも五年間の経費として考えなければならないのです。
つまり、500万円分現金を使ったとしても、経費として認められるのは一年分の100万円だけ。その後、五年間にわたって、現金として流出した500万円を徐々に経費として落としていくような処理をしなければなりません。
このような経費の仕組みを「減価償却」いいます。実際には、こんな大雑把な話ではないですが、まず、最初の理解として、一気に多額の費用を落とそうとしても落とせない場合があるんだ、ということを理解しておいてください。
たとえ、現金が一気に出ていく場合であっても「現金流出とは別に経費の発生が起こる」ということです。この基本的なアイデアを理解した上で、次回は減価償却について少し細かい情報を見ていきましょう。