自分の仕事のことばかりを考えていると、目の前のことに気を取られがちになります。
現在の仕事に熱心に取り組むことはとても重要なことですが、自分の経験にとらわれているばかりでは、新しい考え方を生み出したり、自分の仕事の仕方を振り返ってみる機会が失われてしまいます。
ビジネス書を読み、自分自身の経験をそこに当てはめて、眺めることで、「反省」のきっかけが生まれます。
経験を一般化し、ビジネスにおける知識と照らし合わせることで、何が良くて、何がダメか、これからどうしていくべきか、といった方向や計画の修正もできます。事業家は、ただビジネス書を読むだけではなく、自身を客観視するために利用しましょう。
一般的な知識を仕事に活かすところからはじめよう!
本に書かれていることは、個人的な回想や体験談を除けば、一般的な知識である場合が多いと思われます。その知識を自分の仕事に活用してみることで、まず、自分の仕事の仕方を客観的に見ることができるようになります。
続けて、この世の中には、今のやり方以外にもたくさんの手法や考え方があるはずです。
本の考え方や仕事の仕方を応用することで、仕事のやり方をレベルアップすることはできないでしょうか。読んだ本の内容を実際の仕事に関連付けていくことで、知識を習得することを効果的にし、仕事の仕方を拡張することができるかもしれません。
本を読むことは知識を得ることです。しかし、本に書いてあることだけが本から得られることではありません。本に関連した自身の経験を学び直すことができます。
聞いてきた話を借りてくるだけでは、他人を説得する話はできない。
本に書いてあることを披露するだけ、というのでは、学生のレポートと違いがありません。本に書かれてあることを、自分自身の経験の脈絡の中に位置づけて、表現しなおすことが必要です。自分のことば、自分の記憶、自分の体で本の内容を再現できるようになって、初めて、説得力が出てきます。
現代において、多くの仕事が知識労働と言われるようになってきています。ただ、目の前の仕事に没入するだけでは、知識労働者として優れた人になることは難しいでしょう。しかし、本の中身をお勉強すれば、優れた労働者になれるわけでもありません。知識と経験をどのように統合して、自分のものにできるかということが、鍵となるでしょう。
ビジネス知識押さえるべき3ポイント
ビジネス書を読む上で、実務に関しても一番役に立つのは、「財務・経理」に関するものです。これは間違いないと思います。あくまでも、私の狭い見聞においてですが、お金に関する知識が少ない経営者は事業を傾かせかねない、ように思われます。
事業の基本は、どれだけのお金を投入して、どれだけの見返りを上げるかということに尽きます。こうした基本的な考え方をファイナンスの基礎の本などで勉強しておくと、思わぬ落とし穴を回避することができます。細々とした会計制度の話やルール、あるいはどういった指標で経営管理をするかといった話は、ひとまず先送りにするにしても、お金に関する基礎知識は持っておくにこしたことはありません。
そして財務に比べると、戦略やマーケティングは重要性が若干落ちる気がします。というのも、戦略やマーケティングについて専門的な知識を持っていなくても、一つ一つ物事をしっかりと考えていくことができれば、おそらく事業家として成功できるでしょう。わざわざ先人が色々と考えて、しかも情報を遺してくれていることを継承しないのはあまり賢い手段ではありません。仮に細かいことまで理解しなかったとしても、戦略やマーケティングに関する優しい本を通読しておく程度でも、考えの助けになることがあります。また、ことばに慣れておくことで、少し気取った言い方をする人に対しても怖気づくことなしに立ち向かうことができますし、他人の話の理解が進むかもしれません。
ビジネス書を読むときには、コンセプトを自身の事業に当てはめる
ビジネス書に関して、個人事業主は、コンセプトの材料になる経験をたくさん持っているはずです。ビジネス書を読むのが楽しくて楽しくて仕方がないという性分の人なら別ですが、そうでないならば、自分の経験をコンセプトに当てはめながらノートに落書き半分で読書を進めていくのがお勧めです。
単に本を読んでいても、なかなか頭に入りません。販売計画を考える、という本なら、たとえばそこに出てくる分析を自分の事業に当てはめてみましょう。たとえば、市場の分析をするときに3C分析(自社、競合、顧客を比較する見取り図)というフレームワークが出てきたなら、即座に自分の事業に当てはめましょう。知識の定着率が全く違うはずです、